プレイパアオ小学校 新校舎建設

プロジェクト初の「青空教室」

酷暑から子どもたちを守ろう!

 

やくそくプロジェクト、4校目の支援先となる「プレイパアオ小学校」は首都プノンペンから西に車で約5時間、バッタンバン州の南に位置するモング・ルセイ群にあります。

学校はツゥール・スノール村(153世帯、総人口439人)にあり、生徒は全員がツゥール・スノール村の子どもたちです。

 

学校は国道からかなり奥に入った場所に位置し、隣のプルサット州との州境に近いため、アクセスは良くありません。

周りを見渡しても本当に「何もない」と言った荒野のなかにあります。

 

そして改めて驚かされたのが、この学校は「青空教室」であるということ。
そう、屋根がない炎天下での授業なのです。
一年通して30度以上あるカンボジア。最も暑い4〜5月あたりは40度以上になることも珍しくありません。

そんな酷暑のなか、屋根もないところで子どもたちが勉強しているのです。

元はトタンでできた校舎が1つあったのですが、老朽化が著しく、強風で倒壊する危険があるため強い風が吹くたびに避難していたのですが、いよいよ危険なため壁や屋根を取っ払ってしまい、現在は骨組みだけとなっています。

ここは2年生が使っており、1、3年生はそもそも教室などなく、樹の下に机と黒板を置いて授業を行っています。

 

これはなかなかの衝撃でした。

やくそくプロジェクトはこれまで3校の学校を建設してきましたが、青空教室は初めてです。

加えて、トイレがない、井戸がない。水回りの設備が皆無なのです。したがって、女生徒も含めトイレはその辺の野原ですることになります。

衛生面でも環境は最悪です。

 

今回も「JHP学校をつくる会」を通してこの窮状を知り、一刻も早くこの現状を改善できるよう「プレイパアオ小学校 新校舎建設プロジェクト」は動き出しました。

 

学校名 プレイパアオ小学校
建設地 バッタンバン州 モング・ルセイ群 ルッセイ・クライングコミューン ツール・スノール村
工事期間 2018年7月〜2019年2月
竣 工 2019年1月9日
贈呈式 2019年2月18日
 建設前の状況
  • 2.5km離れたヴェンプレイ小学校の分校であり、不完全校である。
  • トタンでできた校舎があり2年生が使用していたが、老朽化が著しく倒壊の危険が高まったため、屋根や壁など取っ払って木枠だけの状態で使用している。
    そもそも1、3年生は樹の下で授業を受けており、現在完全な「青空教室」である。
  • トイレ、井戸など水回りの設備が皆無であり、衛生面も厳しい環境にある
  • 分校のため4年生から本校であるヴェンプレイ小学校に行くことになるが、遠いためドロップアウトしてしまう子どもが多数いる。
支援内容
  • 校舎1棟3教室
  • トイレ1棟3室
  • 水タンク1基
  • 教室内備品(机、椅子など)
  • 贈答品支援費

 

 2018年7月8日、最終協議会にプロジェクト代表の狩野 富をはじめ、マーケットトラストから久保田とやくそくプロジェクト事務局の増田、中村の4名が出席しました。

 

現地に降り立ち、改めて現地の状況の過酷さに驚かされながら、子どもたちの笑顔に迎えられて最終協議会(着工式)を行い、カンボジア政府の関係者や村民の多くが参加しました。
校長ほか各位の挨拶に続き、やくそくプロジェクトから事務局を代表して中村美佐江が子どもたちへメッセージを送りました。

そして今回もJHPスタッフより、生徒たちと職員に紙芝居の様に絵を見せながら、衛生教育のプレゼンテーションが行われました。また、生徒に「日本はどこにあるか?」を地図上から当ててもらうクイズなどもありました。

 

ここプレイパアオ小学校は分校であり、3年生までの不完全校でしたが、新校舎が建設されることにより、3年生まででドロップアウトしてしまう子どもたちが学校に戻ってくる可能性が高いので、期待しているとコーン・ポンネウ校長が話していました。


2019年2月18日、代表 狩野 富をはじめ、プロジェクト関係者とJHP 学校をつくる会で現地を訪れ、校舎の贈呈式が行われました。

 

贈呈式の詳しい模様は、下記にて紹介しています。

4校目のプロジェクト「プレイパアオ小学校建設」は無事に完了しました。

今回建設した、バッタンバン州南部の小さな集落はカンボジアの中でも特に貧しい地域。

初めて目の当たりにした「青空教室」の学校は、カンボジアの教育環境、いや、地方の生活環境そのものがまだまだ劣悪な発展途上にあることを改めて思い知らされたのでした。

一方、首都プノンペンに降り立つと、道路は整備されて信号もあり高層ビルが立ち並び、近隣国と遜色のないアジアの大都市として、その勢いを見せつけて来ます。

電気も水道も問題なく提供されていて、ショッピングモールで安くないカフェで楽しむ若者たち、街にはレクサスだらけ…。

「本当にこの国に支援など必要なのだろうか?」そんな思いが少なからずありました。


しかし前述のように、首都の繁栄とは裏腹に地方ではライフラインの整備もままならない“変わらないカンボジアの現状”がありました。その格差はさらに広がるばかり。

それはすなわち「良い教育を受けられる者、受けられない者」の差がますます広がって行くことを意味します。

せめて、ちゃんとした校舎で教育を受けることができれば、子どもたちは学問を身に着けて都会を目指し、人生を変えるチャンスをつかむことができるかもしれない。

このプロジェクトが万に一つでもそのきっかけになるのだとしたら、非常に意義のある活動だと思うのです。

 

 

本プロジェクトの発起人であり、株式会社マーケットトラストの代表 狩野 富は、今回のプロジェクトが終わる前に既に5校目の建設に動き出しました。そう、まだまだ作るのです。

そして我々事務局のもとには、次なる候補校の窮状を訴える資料がカンボジアから届いています。

 

狩野は言います。

「出会っちゃったんだから、知っちゃったんだからやるしかない」

この広大なカンボジアに支援を必要としている子どもたちがまだたくさんいる。

世界を変えようなんて思っていないけれど、“出会っちゃった人たち”のために―「やくそく」プロジェクトはこれからも続いて行きます。

 

 

<文責>

「やくそく」プロジェクト事務局

星野 大起