バラン小学校 新校舎建設

朽ちて倒壊してしまった校舎跡
朽ちて倒壊してしまった校舎跡

かつてあった校舎は、

朽ちて倒壊してしまった…

 

やくそくプロジェクト、5校目の支援先に決定したのは、首都プノンペンの東約250Km、クラチエ州チョローン群バラン村にある「バラン小学校」。

ここバラン村は2校目の「ボンオンサオン」と同じくチャム族が住むイスラム教徒の集落で、人口約400人、153世帯が農業や漁業をしながら暮らしており、同じく雨季には1.5mまで浸水して多くの場所が水没してしまうカンボジアでも特に貧困な地域です。

就学対象の児童は約80人。以前は木造の校舎がありましたが、粗末な建物で老朽化が激しく倒壊してしまったとのこと。したがって現在は校舎が全く無い状態です。

1〜3年生は民家の軒下を間借りして勉強している
1〜3年生は民家の軒下を間借りして勉強している

校舎があった頃から1〜3年生は民家の軒下を間借りして授業を受けており、そのため収穫時期などは手伝いに駆り出されることが多く、授業について行けなくなってドロップアウトしてしまう子供が多数いるような状況です。

 

校舎が無くなってしまったので、現在は4〜6年生はモスクを借りて勉強していますが、とても狭く、青空教室で勉強することもあり、厳しい学習環境にあります。

 

以上のような状況を鑑みて、優先度の高いこの場所をやくそくプロジェクト5校目の支援先に決めました。

 

学校名 バラン小学校
建設地 クラチエ州 チョローン群 ドムレイポォーンコミューン バラン村
工事期間 2019年6月〜2020年1月
竣 工 2019年12月17日
贈呈式 2020年1月13日
 建設前の状況
  • 以前は木造橋校舎があったが朽ちて倒壊してしまい、現在校舎がない
  • 現状は青空教室もしくは狭いモスクを入れ替わりで使って勉強している
  • 1〜3年生は以前から民家の軒下を間借りして勉強しており、収穫時期には手伝いに駆り出されてそのままドロップアウトしてしまう子供が多い
  • 雨季には1.5mまで村が浸水し、多くの場所が水没するためボートで通学している
支援内容
  • 校舎1棟3教室
  • トイレ1棟3室
  • 水タンク1基
  • 教室内備品(机、椅子など)
  • 贈答品支援費

 

2019年5月28日、最終協議会にマーケットトラストから久保田敏昭とやくそくプロジェクト事務局の星野、中村の3名で出席しました。

 

ここの地域性なのか、皆明るく人懐っこく、子どもたちは元気に迎えてくれました。

5校目とは言え、支援先に選ばれる場所はその環境の酷さに毎回驚かされます。

村で唯一の家以外の建物であるモスクにテントを張り、村や学校、政府の関係者が集い、そして今回もJHP学校をつくる会の皆さんの進行のもと、建設内容の説明や校舎をキレイに使うことの大切さを生徒たちに伝えました。

やくそくプロジェクトからは普段は写真撮影を担当している、ほっしーこと星野大起が子どもたちと村民の皆さんへクメール語の挨拶を交えてメッセージを送りました。


最後に恒例のお菓子配りもあり、終始笑顔のあふれる最終協議会となりました。

2020年1月13日、代表 狩野 富をはじめ、マーケットトラスト社員、やくそくプロジェクトメンバーそしてJHP学校をつくる会の方々と現地を訪れ、校舎の贈呈式が行われました。

 

贈呈式の詳しい模様は、下記にて紹介しています。

幅ギリギリの橋を渡り、時にクルマが水に浸かりながらの長時間移動の果てにやっとたどり着いた村で我々を待っていたのは、出迎えてくれる村民、子どもたちの笑顔、笑顔、笑顔。

苦労してここまで来た甲斐があった。疲れも吹き飛びます。

 

今回の支援先、バラン村は首都プノンペンから北東に車で約6時間かかる場所にあります。
2校目のプロジェクト「ボンオンサオン小学校」と同じ、「チャム」と呼ばれるイスラム教徒の村。

最終協議会のために初めてこの村を訪れたのは昨年の5月。

約8ヶ月ぶりの訪問にもかかわらず、彼らは私たちをよく覚えていてくれました。

バラン村の人たちは皆明るく人懐っこい。今までのイスラム集落のイメージとは違いました。

 

プロジェクトの紹介でも書きましたが、この村にあった学校は随分前に老朽化のために倒壊してしまい、それからはモスクや民家の軒先や青空教室で勉強してきました。

近年発展著しいカンボジアでもその発展は大都市だけ。
特にイスラム集落は「置いて行かれている」場所です。

毎年氾濫する川のそばに住み、不衛生な環境でほぼ自給自足のような生活。カンボジアでも最貧困の環境がここにありました。


よくカンボジアの子どもたちを見て思うこと、それは全然大変そうにしていない、苦労しているような雰囲気に見えない…ということ。

前述のように明るいのです。

なぜか?
それは、私たちのように便利なものに囲まれて生活した経験がないから。生まれてこのかた、この生活環境しか知らない。だからその環境を受け入れて、それなりに楽しんで暮らしているのです。

そんな彼らは、唯一の学び舎が倒壊して何を思ったでしょうか。
もしかしたら何も思わなかったかもしれません「仕方がない」と。


私たちはこの場所に彼らのための校舎を建てました。
彼らのもとに「学校」は帰ってきたのです。再び校舎で勉強ができるようになったのです。

学校を眩しそうに見上げる子どもたちの顔がとても印象的でした。

 
「念ずれば花開く」という言葉があります。

すべてを諦めるのではなく、「失ったものは、また取り戻すこともできる」ということを知ってほしい。私はそう思います。
そして、努力すれば未来は変えられる可能性があるということも。


おかげさまで「やくそく」プロジェクトも5周年。
代表の狩野富のもと5年連続で学校建設を続けられてきたことは、携わる一人一人にとっても大きな喜びです。

これを書いている2020年3月25日現在、新型コロナウィルスの世界的な蔓延で次回の計画もなかなか立てられない状況にあります。
しかし私たちはいつでも動ける準備を整えています。
早期の終息を祈りつつ、またカンボジアの地を踏めることをプロジェクトメンバー一同願っています。


<文章>

「やくそく」プロジェクト事務局

星野 大起