オンクローン小学校 新校舎建設
建設地 | バッタンバン州 モーンルッセイ郡 チュレイ・コミューン オンクローン村 |
支援内容 | 新校舎とトイレ・水タンクの建設 |
工事期間 | 2017年7月〜2018年2月 |
竣 工 | 2018年1月11日 |
贈呈式 | 2018年2月13日 |
酷暑の中で学ぶ子どもを救え
新校舎建設プロジェクト
バッタンバン州は首都プノンペンから北西約300km、カンボジア最西端に位置する。タイとの国境に面しており、ポル・ポト派の最後の拠点として大きな戦禍に見舞われました。
内戦時には無数の地雷が埋められ、内戦後も残った地雷で大ケガや命を落とす人が後を絶たず、日本をはじめ世界各国の支援で地雷除去の活動が現在でも行われています。
やくそくプロジェクトの3校目の支援先として視察に訪れたのが、バッタンバン州のモーンルッセイ郡 チュレイ・コミューンにあるオンクローン村。
到着して最初の感想は「とにかく暑い!」
基本的にカンボジアはどこもの暑いですが、日差しを遮る場所もなく、乾ききった土煙が舞い上がりかなりの高温になっているようでした。
そんななか、現在子どもたちが学んでいる校舎を視察してみると、1校目の「バンティアイチャックレイ中学校」のようにいつ倒壊してもおかしくない木の枠にトタンを貼り付けただけのような校舎で子どもたちが汗を流しながら勉強していました。
もちろん床もなく、ボコボコの土の上に裸足でいる状態。天井には雨と熱対策なのか大きな幕のようなものが張られています。雨季には教室が洪水状態になってしまうため、授業が完全にストップしてしまうようです。
加えてどこの学校もそうでしたが、トイレの問題。女生徒も多いためこちらも喫緊の課題となっていました。
私たち日本人が長くいると確実に熱中症になってしまいそうな環境。今まであまり暑そうにしているカンボジア人を見たことがなかったのですが、ここでは皆汗だくです。
当然、この危険な校舎は何とかしなくてはなりません。
一通り視察を終えた後、やくそくプロジェクト事務局長の田山正胤とオンクローン小学校のプルン・チャー校長、JHPの関係者を中心に学校建設に向けた協議を行い、3校目のプロジェクトとしてオンクローン小学校の建設を決定しました。
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建設前の状況 |
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支援内容 |
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今回の最終協議会にはプロジェクト代表の狩野 富をはじめ、マーケットトラスト従業員2名、取引先関係者、やくそくプロジェクト事務局の増田を含めた総勢5名で出席しました。
最終協議会の目的は、学校関係者、及びプロジェクト関係者のご紹介を始め、支援内容の報告、そして安全に建設が行われるように、関係各所との協力事項、取決事項などの最終確認を行います。
そして、生徒たちに紙芝居の様に絵を見せながら、衛生教育プレゼンテーションがJHPスタッフより行われます。
今回のプロジェクトはスタート時期が例年より少し遅かったため、恒例の年末のカンボジア訪問までに校舎の完成が間に合いませんでした。
しかし、完成間近となったオンクローン小学校の子どもたちに会いに行こうと日本からマーケットトラスト社員、協力会社の皆さん、そしてやくそくプロジェクト事務局メンバーの過去最多となる総勢約60名で訪問しました!
学校が休みの日にも関わらずたくさんの生徒たちが出迎えてくれました。
それぞれ代表挨拶を行い、笑顔の子どもたちに囲まれて恒例のお菓子配りなど交流を深めました。
最初はいきなりの60人もの日本人を目の前にして緊張気味だったオンクローンの子どもたちもすぐに打ち解けて、楽しい時間を過ごしました。
2018年2月13日。完成したオンクローン小学校の贈呈式が行われました。
マーケットトラスト狩野 富をはじめ協力会社の皆さま、「やくそく」プロジェクト事務局メンバーが参加しました。
贈呈式の詳しい模様は、下記にて紹介しています。
今回の贈呈式で私たちプロジェクトメンバーが贈呈品として用意したものは2つあります。
ひとつは少しでも暑さを和らげてもらうべく作った「やくそくプロジェクト オリジナルうちわ」、そしてもうひとつは授業開始を告げるチャイムに使う「マリンベル」です。
私たちが初めてオンクローン小学校を訪問したとき、突然「ガン ガン ガン!!!」とけたたましい音が響いて、何だと振り返って見ると何やら鉄の塊をハンマーで打ち鳴らす生徒の姿。
「あれ、何をやってるのですか?」と尋ねると、チャイムの変わりなんですとのこと。
「これはひどいチャイムだ…。何か罰ゲームでも始まるかのよう。とても勉強する気持ちにならないなぁ」
とても印象に残った一コマでした。
校舎の完成が間近となり、色々と準備を進める中でマーケットトラストとご縁のある東京の駒込にあるケイナカノ
クラシックバレエアカデミー様からカンボジアの子どもたちの支援にと寄付金をいただきました。
この寄付金をどう活かすべきか―。
いつもとはちょっと違う物を贈りたいと、やくそくプロジェクト事務局メンバーが頭を悩ませ、出たアイデアがチャイムの代わりに使ってもらう「マリンベル」でした。
軽やかで美しい音色で気持ちよく授業に入って欲しい。そんな想いで意見が一致しました。
ただ私にはもう一つの想いがありました。
最初に訪問したときの生徒たちはどこか疲れた印象だったのです。たぶん一番の原因はうんざりするほどの暑さだったのかもしれませんが、年かさの生徒ほど表情が暗いように思えたのです。
「あの子たちを笑顔にするには…」
ひとつのテーマが与えられたような気がしました。
もちろん新校舎が完成すれば喜びの笑顔で溢れると思いますが、もう一つ何かないだろうか?心が浮くような出来事が欲しい。たどり着いた答えが、聴いても鳴らしても眺めていても楽しい「マリンベル」だったのです。
想いが届いたのか、その場で取り付けたマリンベルを大勢の子どもたちが取り囲み、あれは何だと目を輝かせています。
代表で選ばれた生徒が鳴らしてみると「♪カラーーン」とその美しい音色に「おぉ〜〜!」と集まった生徒たちから大きな拍手が(笑)
生徒たちが代わる代わる鐘を鳴らすと、オンクローン小学校と村に美しい音色が響き渡り、気がつけば、私たちが見たかった笑顔がそこに溢れていました。
「笑顔の鐘」と私は自分の中で勝手に名付けました。
この「笑顔の鐘」が今日も校舎に鳴り響き、新しい校舎で勉強している子どもたちの姿を思い浮かべると、こちらまで笑顔になってくるのです。
<文責>
やくそくプロジェクト事務局
星野 大起